「思いやりを持った子供になって欲しいけど、どうしたらいいの?」について、前回の記事では、思いやりは「模倣」から生まれると、ご紹介させていただきましたが、この模倣力、全ての人に備わっている能力なものの、それが上手く使えている子とそうでない子がいるそうです。
今回の記事では、その原因は何なのか!?上手く使えてない場合はどうしたら良いのか!?と言うことについてみていきたいと思います。
今回の記事も以下のような、疑問やお悩みを持っている方の参考になれば幸いです!
- 自分の子供には思いやりのある子供になって欲しいと思っている方
- 思いやりって身に付けられるものなの?その子の個性じゃないの?と思っている方
- そもそも思いやりの気持ちってなんでしたっけ?と人生にお悩みの方 等
それでは早速、見ていきましょう!
なぜ「模倣力」が上手く使えない子がいるのか!?
実は模倣をうまく使えるようにしておくためには「柔らかい身体」が必要になるとのことです。
これは相手の表情だったり、しぐさを自然と模倣するために必要な状態といった感じですね。
この「柔らかい身体」は初めは誰でも持っているのですが、幼いころに親から叱られたり、虐待を受けてきた子供達は、普段から顔や身体の筋肉に知らずに力が入って硬直してしまい、この「柔らかい身体」を失ってしまうそうです💦
筋肉が慢性的に緊張してしまうと、感覚に気づきにくくなり、体のフィードバック(=模倣)がうまく働かなくなってしまいます。
確かに大人でも怖い時とか上司に怒られたりしたら、自然と身体が硬くなってしまいますよね(>_<)
すると人が笑っているのを見たときに、そこから素直にプラスの意味を認知することが出来ずに、例えば敵意のニュアンスを知覚してしまったり、親切にされても素直に喜ぶことが出来ずに、むしろ何か裏にあるのではないかと身体を硬直化させてしまったりするようになってしまうと言うことでした。
虐待や叱りすぎと言うことは、こういうところにも影響を及ぼしてきてしまうんですね。。。
こちらが模倣が起こりにくい身体になってしまう理由です
身体が硬いことによる影響
次に、身体が硬くなってしまうとどんな問題があるのか?と言う点についてみていきたいと思います!虐待の疑いがあった小学校の児童C君のエピソードを紹介させていただきます
C 君は最初のうちは誰とも打ち解けようとせず、体を硬く縮こまらせたようにビクビクしていました。人から触れられることを極端に嫌がり自分から触れることもありませんでした。
しかし周りの大人がC君に触れる回数を多くしていくと、次第に自分から握手を求めてきたり、抱きついたりすることが多くなりました。
数ヶ月経つとC 君は隣の教室の女の子のことが好きになったようです。
近寄っていってはニコニコ笑いながら抱きしめます。
しかし、あまりに強く抱きしめるため、その女の子は C 君に恐怖心を抱くようになってしまいました。C君が来るだけで涙を流してしまい、抱きつかれると恐怖心から引きつったように泣き出してしまう。しかし、C君の方は一向に気にしないで一方的にはしゃいでいるだけだった。そのためC 君を女の子から引き離さなければならなくなってしまった。
と言うエピソードが本書では紹介されてました。
このC君の行動から2つのことが読み取れます!
一つは両親から暴力を振るわれたり、厳しすぎるしつけを受けていたために、人に触れることや甘える事が出来ず心を閉ざしてしまっていましたが、周りの大人たちの働きかけにより、触れることの楽しさを知ってからは誰よりもスキンシップを求めるようになったということ。
そして二つ目は、好きな子ができた時、彼女の感情を理解できなかったということですね。
両親から虐待を受けていたC 君は体が慢性的に緊張してしまっていたと想定されます。
そのため、①心を閉ざしてしまう、②共感が出来ないと言う2つの課題があったものと思われます。
周りの大人たちの働きかけにより、①は少しずつ解かれたものの、それまで身体が硬くなっていたことにより模倣による共感がうまく出来ていなかったため、女の子が嫌がっていることを共感できずに、自分が最近覚えた触れることの楽しさを一方的に女の子に求めてしまったのかもしれません。
なんとなく、こういうのって大人でも当てはまるケースがありそうですよね。。。
「柔らかい身体」を取り戻すにはどうしたらいいの?

こうした硬くなってしまった身体を柔らかくするために効果的なのがマッサージと言うことです!!な、そのまんま(; ・`д・´)
先程のC君ですが、週に一度マッサージをされると、とても安心して落ち着いて「もっとやって」とせがむこともしばしばだったとのことです。
この時、とても柔らかく丁寧にマッサージすることで「C君を大切にしているよ」「 C 君はかけがえのない人間だよ」というメッセージを愛情を込めて送るようにしたそうです。そしてマッサージをしてあげた後は逆にC君にマッサージをしてもらうことにしました。
1ヶ月も続けていると、次第にC君の表情も変わってきて、女の子を無理に抱きしめることもなくなったのことでした。
このC君のエピソード以外にも、マッサージを行うことで保育園や幼稚園の問題行動を起こしている生徒数が減少したと言う結果の実験が沢山あるそうです!!
最後に、著者がマッサージの大切さを説明している個所を引用します。
マッサージをすることは相手に尊重していることを伝え、また体の模倣の能力を高めるための絶好の手段であるということが分かる。手を温めて優しくマッサージをして筋肉の緊張を解きほぐしてあげる。マッサージは人の体に直接触れるから、無意識のうちに力が入ってしまっている部分がよく分かり、その緊張に気づきやすくなる。人の肌の感触というものは暖かくて心地よいのだということを体に覚えさせる手段にもなる。
マッサージによって硬くなった筋肉のしこりがほぐされるにつれて、心の緊張もほぐれていく。そしてマッサージをする人とされる人との間に深い情緒的な関係を築くことにもなる。
またマッサージというのはコミュニケーションである。 一人が一方的に相手にしてあげるだけのものではない。親が子供にマッサージをする時には子供の心の状態をうまく察知して最も気持ちいい部分に気持ちいい振り方でくれるようにしてみて欲しい。どうすれば親の子供に対する思いやりの心は必ず伝わるものである。
そして今度は役割を変えて子供にマッサージしてもらうといい。子供は親の方や背中に直接触れその大きさや硬さなど色々なことを感じ取るに違いない。いつもは離れて喋っていた親の体にじかに触れてみることでその存在の大きさを感じるに違いない。そんなやり取りが親子が互いを知り思いやる気持ちに繋がっていく。体と体でコミュニケーションが成立するボディートークは言葉のやり取りは一味も二味も違ったはるかに大きな効果を期待できるのである。
ここまで思いやりを育てるには?という観点で身体の模倣について見てきましたが、思いやりのメカニズムは相手を「模倣」することから生まれる。そして「模倣」は「柔らかい身体」が必要と言うことが分かりました!
そのため、身体に余計な緊張を与えるような負の影響をできるだけ避け、逆にマッサージなど、体を柔らかくして、心までほぐすようなスキンシップを増やすことが重要であるということが分かりました。
結論としては「思いやりを持った子に育てるには、普段から子供へのスキンシップを沢山とることが大切」と言うことなんじゃないかなと思います。めっちゃシンプルですが💦笑
幼児教育に関する書籍で、改めて、肌や身体同士の触れあいについてしっかり書かれているものに、あまり出会っていなかったので、そうした意味でも、本書は大変興味深い内容でした!
また、この本では「脳」がよりよく成長するためにも「肌」の触れ合いが大切と言う点が様々な研究や実験から説明されており、 著者の言う「肌は露出したの脳」 ということがなるほど~と言う感じで理解できました!
肌は脳とは異なり、具体的に目の前にあって触れることができるものですので、これに着目して幼児教育を考えるのも面白いのではないかと思いました!!
家でもPちゃんに対して、今以上に肌のスキンシップを増やして、私も含めて肌感覚を磨くことを取り組んでいきたいなと思いました^^
長文となってしまい 恐縮ですが、最後までお読みいただきありがとうございます!
では!また!!
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